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シンクスクール事務局/お問い合わせ

一般社団法人PROJECTA 

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シンクスクールってどんな学校?

まちづくり/アートマネジメントをゼロから学ぶ「企画コース」と、アーティスト/キュレーターから制作のコツを学ぶ「制作コース」の2コースからなるシンクスクールは、どのような考えのもと生まれたのか?シンクスクールを主催する札幌駅前通まちづくり株式会社 今村育子にインタビューしました。
 スクールをはじめた理由、アートとまちづくりって?
 
ー今村さんはご自身がアーティストで、札幌駅前通まちづくり会社で働かれていますが、どうしてシンクスクールを始めようと思ったのか聞かせてください。
 
今村:2011年の5月からまちづくり会社で働くことになって、最初はチ・カ・ホ(札幌駅前通地下歩行空間)の管理運営を一日中やっていました。そのうち貸し出しがどんどん増えて、ちょっとずつ企画をたてられる状態になっていきました。チ・カ・ホの活用方法を考えるアートプロジェクトPARCや、空きビルや建て替えで出来る空き室の使い方を考えた越山計画、そしてテラス計画に繋がっていきます。その時に、なんでも面白がってくれる人や、無駄なんだけど無駄じゃないことを一緒に考えてくれる人になかなか出会えないことを実感していきました。
 
—それぞれの分野でみんな面白いことをやっているんだけど、あまり接点がないですよね。活動している場所が被らない。
 
今村:そうなんですよね。越山計画やテラス計画に関わってくれていた人たちは、30〜40代で、みんなどんどん忙しくなって大きな仕事や現場を任されるポジションになっていくから、ミーティングの出席率がどんどん下がってしまう。もちろんそれはとても良いことだし嬉しいんですけど。この状況をどうしたら良いのかな?となった時に、一緒にまちを面白くしてくれる仲間を見つけたい!と思うようになりました。こういうのやるよーって言ったときに、集まってくれる人が必要だなって。それでスクールをやろう!と思いました。
 
—まちづくりとアートという2つの視点でシンクスクールを始めたのはどうしてでしょうか。
 
今村:もちろん、うちの会社がまちづくりをやっている会社ということと、もともと私がずーっとアートをベースに制作やデザインをやってきたのが下敷きにありますが、大切にしていることは、アート自体の多様性と寛容性です。多くの人が「アートって何ですか?」ってなるんだけど、その「何ですか?」ってもの自体が世の中にあんまりない。アートって言った時に多分みんな頭の中に色んなことを思い描くと思うんです。伝統的な絵画や彫刻だけでなく、子供が粘土をこねてるのもアートかもしれないし、現代アートを想像するのかもしれない。それだけアートはすごく曖昧で、だけどそこが重要だと思ってます。実は、まちづくりって言葉もそんなに形がなくて、まちおこし、コミュニティとか色々聞くけど、なんだかはっきりしない。
 
—確かにそうですね。アートとまちづくりにはそういう共通点があるんですね。
 
今村:私は、はっきりしないものが悪いとは全然思っていなくて。はっきりしていないからこそ、みんなで考えて、新しいものを作っていける可能性があると思います。 —アートとまちづくり、そしてその他の物事にもつながっていく話だと感じます。全国に複数あるアートスクールの中でも、まちづくりも学べるということは珍しいですよね。
 
色々なシーンで、アーティストが力を発揮できるということに、まちづくり会社に入ってから気が付きました。まちの新しい見方をアートが示してくれるという意味でも、アートとまちづくりはぶつかる場面もありますが、意外と親和性が高いと思います。  
自分と向き合うカリキュラム
 
—シンクスクールは企画コースと制作コースの2コースありますよね。授業内容など、具体的なカリキュラムのお話を聞かせてください。
 
今村:シンクスクールは、レクチャーだけでなくワークショップやディスカッションなどを組み合わせて、スクール生が能動的に参加できるプログラムを組んでいます。「企画コース」の前期は、ひとつの課題に対していくつかのグループにわかれて約半年間かけて企画を立て、プレゼンテーションをして、講評をもらいます。後期は個人で課題に取り組みます。自分の興味や関心を掘り下げてテーマを見つけて、最後に展示発表して講評を受ける、という風に前期と後期で2つの課題に取り組みます。
 
—制作コースはどのような内容でしょうか。
 
今村:「制作コース」の前期は、美術史にそって多彩な表現方法を学びながら、前期展のグループ展に向けて作品を制作していきます。後期は卒業制作展に向けて、講師や仲間たちとディスカッションし作品を深めながら制作します。2017年の夏は、カナダの美術大学とのエクスチェンジ・プログラムとしてスクール生の作品をカナダに送り展覧会を開催しました。
 
—シンクスクールは、ワークショップやプレゼン、展示やディスカッションなど、アウトプットの場がたくさんあって、言葉にする機会があるのがいいなと思いました。
 
今村:言語化って私も苦手なんですが、いかに考えて話すかみたいなのは訓練ですよね。それを学びの場で練習していく事が重要だと思いカリキュラムを組んでいます。
 
—言葉にすることはすごく難しいけれど、とても必要なことだと感じます。アーティストであっても作品を作るだけではなくて、自分の作ったものを説明することも求められますよね。
 
今村:自分で作品のテキストを書く事も多いし、インタビューされる事もあるし、人前でお話する機会もあるし、自分の作品を知って貰うためでもあり、何より自分自身が自分の作品を知る手段ですよね。
 
—このスクールの講師の方も生徒も本当に色んな人がいて、同じ問題があったとしてもアプローチの仕方は色々ですよね。
 
今村:スクールで呼んでいる講師の方もみんな違っています。ディレクターや、ディレクターをサポートするのが得意なコーディネーターもいるし、研究者もいて、本当に仕事や職種って沢山あるんですよね。シンクスクールとしては、自分がどの役割に向いてるのかなってことを見極める1年間でもあって欲しい。
 
—シンクスクールは、自分を見つめ直す時間という一面もあるんですね。
 
今村:シンクスクールで学んだからといって、アートやまちづくりをやらなくてもよくて、例えば自分の子どものために何かやってみる、会社の人とプロジェクトをやるときに「あ、あの時のワークショップをちょっとやってみるか」とか自分の仕事や日々の生活にここで学んだことを持ち込む。まずはそこからでいいんです。  
「このスクール届けーーーっ」
—企画コースと制作コースの合同合宿はどうでしたか?
 
今村:合宿は、自分のやりたいことを掘り下げる2泊3日なんですけど、先生とディスカッションをするんです。今、自分の状況はこうでこういうことに関心があってっていう話をしながらやりたいことをクリアにしていく2泊3日。缶詰になってずーっと考え続けたり、向き合い続ける時間を設けています。
 
—シンクスクールは働いているスクール生が多いから、まとまった時間を持つことは特に貴重だと思います。そこで、企画や作品の内容とかの考え方が変わりそうですね。
 
今村:そうですね、とてもクリアになります。人によっては余計に悩む人もいますが、それも前進ですよね。あと、合宿を経て仲良くなるから楽しかった(笑)。去年は1期生も参加して参加者も多く、1期生と2期生が交流できたのも良かったです。夜は交流の時間で、先生たちもずっと付き合ってくれて、盛り上がりました。
 
—全国のまちづくりやアートの第一線で活躍する方々に講師として来てもらっていますが、直に話を聞けたりアドバイスをもらえたりするのは、地方都市の札幌では特に貴重な機会だと思います。
 
今村:会ったこともない、どこの誰かもわからない私たちに「札幌に来てくださーい!」と頼まれて、みなさん本当に忙しい中、わざわざ時間を割いて飛行機に乗って来てくれる、それだけで私は毎回感動しているんです。
 
—そうですよね、そういう熱い気持ちはスクールの中で伝染していくと思います。
 
今村:そのリアリティは重要だと思います。東京に行かないと本格的にアートやまちづくりを勉強できない、知ることができないっていうのはなんか違うんじゃないかなって思っていて。いくつになっても人生の中で勉強したいなあって思う時ってありますよね。でも職場や家庭に固定されて、なかなか動けない人もいる。みんな色んな理由で札幌、北海道にいると思うんですよ。「じゃあ今から勉強したいけど、どこにいったらいいの?」という人たちに、「このスクール届けーっ」と思っています。  
 
卒業生の活動、シンクスクールの展望
 
—2018年、3年目を迎えるシンクスクールでは、今年も3月に卒業生が出ますけれど、去年の生徒の現在の活動や、変化について何か感じたことはありますか?
 
今村:はっきりと活動が変化した人が何人かいます。去年のスクール生では「スクール通ってたら、迷いが吹っ切れました!」となって、「落語家に弟子入りします」「デザイナーとして頑張ります」と東京に行った人が2人いて、シンクスクールに通ったことが何かの決断のきっかけになったことはすごく良かったなぁと思います。一期の卒業生では他にも、ハウスメーカーで働いているのですが定年後どうしようかな?と考えていた荒岡さんという男性がいて、その人はスクールを卒業してすぐの7月から、「なえぼのアートスタジオ」という大きな共同アトリエの管理人を始めました。講師の山本雄基さんが講義中に「今のアトリエが立て壊しになっちゃうから、アトリエ探してるんです」って話してて、荒岡さんが知人から大きな空き物件を紹介されたことをきっかけに、スタジオが立ち上がり、今では札幌のアートスポットの一つとして立派に稼働しています。
 
—まさに、スクールで学んだことが形になって結びついているんですね。
 
今村:これは一年目のサプライズ。これらは目に見えやすい生徒の変化だけど、卒業生みんながちょっとずつ変わってると思います。ちなみに卒業後うちの会社で働いている人もいます(笑)。シンクスクールを一緒に企画しているプロジェクタさんで働いている人もいます(笑)。
 
—1年間、いろいろな人に会い、いろいろな話を聞けば、変化していきますよね。
 
今村:私がシンクスクールですごく良いなと思っていることは、スクール生がみんなで「なんでもないことを話してる」ことなんですよ。2017年度の企画コースの後期課題が「クリエイティブの力で社会や自分の問題に取り組むプランを考える」なんですが、ジェンダーの話、自分のコンプレックスについて、時間の話、コミュニケーションについてとか、就職の話とか、それぞれが自分のもっている問題意識をみんなで熱心に話しています。そういう話を日常的にすることってなかなかないですよね。「時間ってさー」とかっていう抽象的な話にはなかなかならない。だからこそ、それについて真剣に話している姿を見たり、みんなの意見聞いてるだけで「これ凄い時間だぞ」って思っています。もっとずっとダラダラと話してほしい。(笑)
 
—そういう時間って大切ですよね。今は学生も忙しいですからね。
 
今村:普段はみんな合理的に考えて無駄がないので、スクールでの話し合いの中の無駄がすごく重要だと感じます。「自分に関係ない」と思って切り捨てている事の中にとても重要な事、ちゃんと考えなきゃいけない事がある。それについてみんながそれぞれ考えてるということ「そんな事考えてるんだ」と思ってその事について自分も思いを巡らせているのがめちゃめちゃ良い時間だなぁと思ってます。
 
—最後に、これからシンクスクールどうなっていけばよいとお考えですか。
 
今村: もちろん、受講生がたくさん来てほしいんですけど(笑)、シンクスクールは、アートやまちづくりを知りたい、アートマネジメントやまちづくりをやりたい、作品を制作したいっていう人たちに向けてのスクールですが、自分の人生をもっと面白くしたいと思ってる人にもよいのかなと思います。企画や制作を考えるプロセスは、自分の人生を考えるプロセスにもすごく似ています。アートやまちづくりを通していろんな人の話を聞いて、自分の人生について根源的に考えることができたら、なんにでも応用できるんだと思います。自分の人生や、やりたいことに疑問を持っている人とか、なんかちょっとつまづいてる人とか、そういう人にこのシンクスクールが届けば良いなぁと思っています。
 
今村育子:2006年より美術家として、日常の中にある些細な光景などをモチーフにインスタレーション作品を制作。2011年より札幌駅前通まちづくり株式会社勤務。主に「シンクスクール」「PARC」「さっぽろユキテラス」「テラス計画」の企画や、まちづくり会社主催事業のデザインを担当する。 
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