9/5 合同「現代美術をわかりたい人のために、あえて美術の歴史をさかのぼる講座」(蔵屋美香さん)
9月5日は、横浜美術館館長の蔵屋美香さんによる、
作品の見方、美術史についてのレクチャーを行いました。
この日は、コロナの影響もあり、初の遠隔授業となりました!
講師の蔵屋さんは横浜美術館からのオンライン参加、
また、生徒の皆さんもオンラインで自宅参加される方、
会場でプロジェクター投影した画面を見て講義を受ける方と
それぞれ選択制での実施でした。
さて、シンクスクールではこれまで何度も講義を実施いただいている蔵屋さん。
導入では、
「展覧会では、よく作家の背景やテーマの説明が貼られているけど、
いきなり最初から考えるのは難しいよね」というお話から。
確かに展覧会の導入や解説といってイメージするのは、
作家の半生やこういう意図で作品を作っていますという説明ですが、
それだけだとなかなか、はじめて展覧会に訪れる方にとっては
ハードルが高いですよね。
そこで、蔵屋さんは「構図・色・形・運動」など、
画面に見えている情報から楽しむフォーマリズム(=形式主義)の見方で
作品をまずは見てみませんか?と、作品鑑賞の楽しさを説いてくれます
生徒の皆さんの中にも、やはり美術鑑賞ってむずかしい、
というイメージがどこかあったようで、
授業を通して、過去の巨匠の作品(カンディンスキー、セザンヌなどなど)から、
この作品はこんな構図、この作品はこういう色を使うことを意識しながら作ったんだ、
と、少しずつ作品の謎を解く楽しんでいる様子でした。
蔵屋さんの講義でも話されていましたが、
作品を見ていきなり最初から「わっ!」という感動が現れるのではなく、
作品の色や形を見て気付きを積み重ねていく中で、感動が現れるというのは、
大事なポイントかもしれませんね。
そのほか、現代美術の歴史についてのレクチャーでは、
どういう流れがあってこの作品が生まれたのか、
この作品はこういう流れへの反発で生まれたんだよ、
といった歴史を大づかみに解説。
そして今現在起きている美術の流れ、テーマとして
現在横浜で開催中のヨコハマトリエンナーレ2020「光の破片を捕まえる」で
展示されている作品やテーマ、コレクティブの流行などについても触れていただきました。
作品って小難しい理屈だけでなく、もっと自由に色や形で見て良いんだ、という気付き。
そして、同時代のリアルタイムに起きている、いろいろな関心や社会状況が
反映されているということをあらためて感じることができて、大変充実した講義となりました。
次に美術館やギャラリーにいく時には、作品がちょっと違って見えてきそうですね。